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それでも・・・愛しています。

実は 書き始めて 途中までの記事が
かなりあり、ブログというより
独りよがりな独り言の内容ですが・・・
そのひとつを。

夏休みの息子の宿題の中に
漱石の「こころ」からの出題問題

苦手教科には口出ししないものの
昔自分が好きだったものには
ついついチョッカイ・・・
お節介で過保護の顔が出そうになるのを
「あー、ダメダメ!」と、自戒しつつ。。。

国文を専攻していた学生時代、
敬愛する教授がいました。

多分 本来ならあまりそそられない
神経質で固苦しい漱石文学に興味が持てたのも
先生の指導のおかげだったと思います。

漱石の研究者で その思想に傾倒する先生は、
猫背で分厚いレンズの眼鏡で
お洒落とは対局の 風采の上がらない
中年男性。

いつもかなりの量の資料を抱え
深刻(に見える)な表情で 背中を丸め
倒れこむように入って来る姿は
なんとも痛々しいのですが

講義が始まると スイッチが入ったように
文学を熱く語る 

その内容が借りてきたハッタリではない
本当に文学が好きなんだなぁ~
という想いが切々と伝わって来て

特に「僕の敬愛してやまない・・・」と
漱石の話をする時の先生の表情は

とっておきの宝物を前にして
「さぁ、今日は僕の大切なヒトの何を語ろう。。」
と、純真な少年のようなときめきが
受ける側にもダイレクトに伝わってくる
とても興味深い講義で。

終了後には、全身全霊の力を使い果たしたように
疲労困憊しきった様子で退室されるのですが

その講義が待ち遠しい 私と同じくファンの子が多く
出席率は 他の講義と較べてダントツでした。

修道院ではないにしろ 
キャンパス内に 女のひしめく女子大という特殊環境

サークルや合コンで他校男子との交流はあっても
京都という土地柄 太秦のスターを追いかけたり
宝塚に通い詰めたり・・・それぞれのカリスマを求め
理想と重ねたかったのかもしれません。

多分、年齢や地位的にもきっとご家庭をお持ちのはず

なのに他の教授とは違い、
肉食的ギラギラしたところもなければ
ナルシスト的 妙な押し付けも無く
生活感がない???

この 地味だけれども謎めいた存在に
興味を持った友人が何人かいて
彼の家をどんな様子かこっそり見に行ったんだそうです。
(今なら、ソフトストーカーですよね~coldsweats01

その様子を後で教えてくれたのですが
奥様は、先生よりも大柄で ドンとした存在感あり
タイミングよくか悪くか、先生に「○○してちょーだい!」と
何かを命令口調で頼んでいて。。。

通りががりにそれを目にして、
えっ・・・sign03とショックで、すごすご帰ってきたんだそうでdash

今となっては、当の私たちが「○○してちょーだい!」の
立場なので(笑)、本当に若気の・・・ですがcoldsweats01

想像の中では、実際の漱石と先生を
いつの間にか重ねていた私たちは
きっと、奥さんは「こころ」に登場する
和服の似合う 楚々とした奥さんみたいなヒトshineだろうと
目いっぱいイメージを膨らませた分、

勝手に「な~んだ。」と、幻滅の幕引きをしたのでした。

でも それから間もなくの卒業間近
やっぱり 先生は 先生らしく
すてきなメッセージを 最後の講義で
私たちに託してくれましたheart

いつもなら、文学のみで終始する講義
なのに その日は違っていました。

黒板に大きく

重なった◎ 半分重なった二つの○ 

そして離れた二つの○

を書き

そして、静かに言いました。

「皆さん、夫婦の形はこの3つの図で
どれだと思いますか?」

挙手の結果、3分の1が重なった◎

残り全員 一部重なった○

離れた○は 誰もいませんでした。。。

その光景を思慮深げに見渡し
しばらくの沈黙の後 静かに語り始めました。

「皆さんは、未だ若く まだ未婚。

 夢多き皆さんの思いを 傷つけるとしたら

 どうぞ、許して下さい。

 でも、夫婦とは この離れた○

 どんなに近づこうとも この離れた○なんです。」

いつも敬虔で思慮深く 人道的な先生らしからぬ???

当時 人生経験の浅い私たち生徒は
オンナだけ・・という妙な結束感もあり、
先生の思わぬ発言に、一瞬 尊敬する異性代表の
予想外の裏切りを耳にしたかのように
しばらく ザワザワざわめき立ちました。

それから、かなりの沈黙の後、こう言われたんです。

「それでも ボクは ツマを愛しています。」 

そう語るシャイにはにかんだ顔は
漱石を熱く語る少年が ふいに覗かせた
永遠に変わらない 秘めた恋心のようで

いつの間にか 拍手喝采となり その中で
初めてにして最後の ポッと顔を赤らめていた
先生の姿は 印象的でしたshine

きっと 彼は卒業の度 最後の講義でこの話を
お決まりのように したのかもしれません。

もう数十年前のことですから、
とうに退官されているでしょうし、時代の変遷とともに
目の前の生徒の反応も変わっていったことでしょう。

それが、彼の目にどう映ったか?は知る由もありませんが

漱石の「こころ」を手に取るとき、
先生の記憶と メッセージを思い起こす卒業生は
案外多いだろうなーと、思います。

思い返してみると、今は先生があの時伝えようとした
想いが、手に取るように分かります (* ̄ー ̄*)

それは、分かろうとして頭で理解したことというより
年数を生きてきて 経験として実感したことの方が
多かったように思いますが、
だからといって、悲観でも達観でもなく

あっ、そーなんだ。

と、普通に思えること。

でも、そこで その上で
何がしらかのタイミングで、
こんな言葉のご褒美があると・・・
たまんなく うれしいですよね~(*^-^)

少々気恥ずかしくても なんでも

肝心な時には 言葉にして。。。

いつでも、言える自分で 言ってもらえる自分で heart

・・・ダラダラ書いた、最後は
かなりキザな〆ですが~ coldsweats01

語らない心も魅力ですが こころを語ることも

またステキです(* ̄ー ̄*)

まっ、こんなことを

「なんで こんな突き詰めた考え方するのか?」と、
「こころ」を走り読みしながら頭をひねる息子に語ったところで、
馬の耳に 念仏 チーン ですがsweat01

長々 最後までお読み下さり ありがとーございま~すclover

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日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

コメント

この先生は、奥様と きっと ほんわか素敵な老後を過ごされていることでしょうね~。。。。

そして、やっぱり、奥様はすご~~く幸せ者ですよね。。。heart04

確かに「こころを語ること」も、ステキですよね。。。

ステキに語れるヒトに 私もなりたいな~。。。

素敵なお話を どうもありがとうございますclover

投稿: ラブまま | 2009年9月21日 (月) 17時24分

ラブままさん、素敵なコメントありがと~ございますheart

いつか折りあれば書きたいなー(゚ー゚) と、
思っていた話ですが、書き始めたらこんな長文になり・・・
最後までお読み下さっただけでホントにうれしいですheart04

ラブままさんは、きっともう ステキに語れるヒトshineだと
思います(* ̄ー ̄*)


投稿: シプカ | 2009年9月22日 (火) 00時06分

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